機能別組織の特徴・メリット・デメリット3選|MBA受験生向けにわかりやすく解説

2025年06月29日

機能別組織のメリット・デメリット

1-1.機能別組織のメリット

 「機能別組織」には以下のメリットがあります。

1.専門性が高めやすい。

 機能別組織は「専門性が高めやすい。」というメリットがあります。機能別の組織に属する人達は主にその部門の業務だけを行うので、結果として早くその分野の知識や経験を向上させる事ができるようになります。また、機能別組織では、同じ専門分野のメンバー同士が日常的に情報やノウハウを共有できるため、業務効率や問題解決能力の向上も期待できます。例えば、営業部であれば営業手法や顧客対応のベストプラクティスを部内で蓄積し、全体のパフォーマンス向上につなげることが可能です。加えて、部門ごとに明確な役割と責任範囲が設定されるため、業務の管理や評価がしやすく、成果の可視化も進みます。しかし一方で、部門間の連携が不足すると、情報の断絶や組織全体の目標との乖離が生じやすくなるため、各部門が専門性を発揮しつつも、全社的なコミュニケーションや調整の仕組みを整えることが重要です。こうしたバランスを保つことで、機能別組織のメリットを最大限に活かすことができます。

2.効率が良い。

 機能別組織は「効率が良い。」というメリットがあります。機能ごとに組織が分かれているので業務内容が重複せず、結果として業務の効率化が実現しやすくなります。さらに、機能別組織では同じ業務を担当するメンバーが集中して作業するため、手順やルールの統一が図られやすく、作業の標準化・効率化が進みます。例えば、経理部であれば仕分けや決算処理の手順が統一され、ミスを減らしスピードを上げることが可能です。また、専門的なツールやシステムの導入も部門単位で最適化できるため、業務の自動化や改善が行いやすくなります。加えて、業務の進捗管理や成果評価が部門ごとに明確になるため、改善点の特定や人材育成も効率的に行えます。一方で、部門間の連携不足による情報の偏りや意思決定の遅れには注意が必要ですが、全社的な調整やコミュニケーションを補う仕組みを整えることで、効率性という機能別組織の大きなメリットを最大限に活かすことができます。さらに、効率性を高めるためには、定期的な部門間ミーティングや情報共有の仕組みを導入することが有効です。これにより、部門ごとの業務効率を維持しつつ、全社的な目標との整合性も確保できます。また、部門間の連携や協力を意識したプロジェクト運営を行うことで、効率性と全体最適の両立が可能となり、組織全体のパフォーマンス向上につながります。

3.統制が取りやすい。

 機能別組織はトップに権限が集中するので「統制が取りやすい。」というメリットがあります。経営という視点から見ると、機能別組織の長は主に機能の内部に責任を持っているので、全社的なマネジメントに対する影響力は小さいものであると言えます。そのためトップ(経営陣)に権限が集中し全社的な統制が取りやすくなります。加えて、トップに権限が集中していることで、企業全体の方針や戦略を迅速に決定・実行できる点も機能別組織の特徴です。各部門の長は自部門の専門業務に専念できるため、現場の効率や専門性を高めつつも、経営陣が全体の方向性を統制しやすくなります。これにより、企業全体としての一貫性が保たれやすく、異なる部門間での方針のずれや意思決定の遅れを最小限に抑えることが可能です。ただし、トップの権限が強く集中する分、経営陣の判断に依存する度合いが高くなるため、意思決定の質やスピードが組織全体のパフォーマンスに直結する点には注意が必要です。それでも、全社的な統制を重視する企業にとっては、大きなメリットとなります。

1-2.機能別組織のデメリット

 「機能別組織」にはメリットに加えて以下のようなデメリットもあります。

1.部門間の連携が弱くなる。

 機能別組織は「部門間の連携が弱くなる。」というデメリットがあります。特定の部門に属する人は常に同じ部門の人と仕事をする事になるので、縦割り意識が強くなり、他部門との関係性が弱くなる事があります。それにより他部門との情報共有や協力が難しくなる事もあります。さらに、部門間の連携が弱くなると、全社的な視点での意思決定や問題解決が遅れる可能性があります。例えば、営業部と製造部が十分に情報を共有できない場合、需要予測や生産計画にズレが生じ、在庫過多や納期遅れといった課題が発生することがあります。また、部門ごとの目標達成が優先されるあまり、組織全体としての最適化が損なわれるリスクもあります。さらに、部門間のコミュニケーション不足は、社員間の協力意識の低下や、イノベーションの阻害にもつながりやすくなります。そのため、機能別組織では専門性や効率性を高める一方で、部門横断的なプロジェクトや定期的な情報共有の仕組みを整備することが、デメリットを緩和し、組織全体のパフォーマンスを向上させる上で重要です。

2.全体最適が難しくなる。

 機能別組織は「全体最適が難しくなる。」というデメリットがあります。各部門に所属する人は常に部門の目標や業務を優先的に考えるようになります。しかしその結果、会社全体の目標達成という観点から判断する事が難しくなります。そのため全体最適が難しくなります。加えて、機能別組織では部門ごとの目標や業務効率が優先されるあまり、組織全体のバランスが損なわれることがあります。例えば、営業部が売上拡大を重視するあまり、製造部や物流部の負荷やコストを考慮せずに受注を拡大すると、結果として納期遅れや在庫増加などの問題が生じる可能性があります。また、部門間での情報共有や協力が不十分だと、企業全体としての最適な資源配分や戦略的意思決定が難しくなります。そのため、機能別組織では効率性や専門性を高めるメリットがある一方で、全社的な視点での調整や統合的なマネジメントの仕組みを設けないと、全体最適を実現するのが困難になるという課題があります。

3.経営陣の負担が大きくなる。

 機能別組織は「経営陣の負担が大きくなる。」というデメリットがあります。各機能の詳細を把握するためにも、またしっかりと管理・調整をするためにも、経営陣が各機能の状態を正しく把握しておくことが必要になります。また全体最適の視点を持つのが経営陣のみになってしまうので、経営陣の負担はその分だけ大きくなります。さらに、経営陣が各部門の状況を細かく把握しなければならないため、意思決定や戦略立案の負荷が増加します。部門ごとに異なる目標や業務の優先順位を調整し、全社的な最適化を図る責任は経営陣に集中しやすく、時間的・心理的な負担が大きくなります。また、部門長が自部門の専門業務に専念する一方で、全社的な視点での調整や判断は経営陣に依存する構造となるため、経営陣の判断ミスや遅れが組織全体に与える影響も大きくなります。その結果、迅速な意思決定や柔軟な対応が求められる状況では、経営陣の負担が組織運営のボトルネックになる可能性があります。こうした点を補うためには、情報共有や意思決定支援の仕組みを整備することが重要です。

機能別組織のメリット・デメリット:まとめ

 機能別組織にはメリットとデメリットがあります。そのためそれぞれの特徴をしっかり理解した上で、機能別組織について検討し採用するか否かを検討するようにしましょう。またMBA受験に向けて上記をしっかり覚えておくようにしましょう。