2025年07月02日
なぜ財務諸表を読む力が重要なのか?
「財務諸表よ読む力」は全ての経営者・ビジネスパーソンに求められる力になります。その理由は次の通りです。
1-1.企業の実態を把握できる。
一つ目は財務諸表を読む力があれば「企業の実態を把握できる。」というものになります。
財務諸表を読む事ができれば、どのような立場でも企業の実態が理解できるようになります。例えば大企業が都心の一等地に巨大なビルを保有し、多くの社員がいて、大勢の顧客を抱えているのを見れば、あなたはその企業を凄い企業だ思うかもしれません。しかしそれは必ずしも経営の実態を反映するものではありません。例えばそのビルは大きな借金を抱えて購入し、減価償却費が負担となっているかもしれません。土地付きで購入したそのビルの地価は購入時と比べて半分以下になっている可能性もあります。また社員と顧客は大勢いても、収支が合っておらず毎年損失を計上しているかもしれません。売上が大きくても、売掛金の回収が遅れているかもしれません。しかし財務諸表を読むことができれば、企業の表面的な側面ではなく正しい経営の実態を知ることができるようになります。
また財務諸表を読む力があると、企業の収益性や効率性も正確に評価できるようになります。損益計算書を分析することで、企業がどの程度の利益を上げているのか、費用構造が適切かどうかを判断できます。例えば、売上が高い企業であっても、人件費や広告費などの経費が過大であれば、実際の利益は小さくなる可能性があります。また、営業利益率や純利益率を計算することで、同業他社と比較した収益力や事業効率を把握することも可能です。これにより、単に売上や規模だけで判断せず、収益性の高い企業かどうかを見極めることができます。MBA受験生にとっても、損益計算書を正確に読み解く力は、ケーススタディや経営戦略の分析に直結する重要スキルです。
更に貸借対照表を読む力を身に付けると企業の資産構成や負債の状況、自己資本比率など財務系全盛を把握する事ができます。例えば、同じ規模の売上を上げる企業でも、負債が多く自己資本比率が低ければ、景気変動や資金繰りの変化に弱い可能性があります。また、現金や売掛金などの流動資産と固定資産のバランスを確認することで、短期的な支払い能力や長期的な投資余力も判断できます。このように、貸借対照表を分析することで、単なる表面的な規模感ではなく、企業が安定して持続可能な経営を行えているかどうかを評価することができるのです。
更に財務諸表を読む力は経営判断や投資判断にも直結します。例えば、企業に投資をする場合、表面的な売上やニュースだけで判断するのは危険です。財務諸表を正しく分析すれば、利益構造の健全性、キャッシュフローの状況、負債の返済余力など、投資判断に不可欠な情報を把握できます。また、経営者やビジネスパーソンであれば、コスト削減の優先順位や資金調達のタイミング、将来の投資判断なども、財務諸表の理解に基づいて行うことができます。MBA受験生にとっても、財務諸表を読む力は単なる会計知識ではなく、戦略的な意思決定力や分析力を高めるための必須スキルであり、ケーススタディやディスカッションで実践的に活用できる能力と言えます。
1-2.経営判断の質が向上する。
二つ目は財務諸表を読む力があれば「経営判断の質が向上する」というものになります。
仮にあなたが経営者である場合、財務諸表を読む事ができれば正しい経営判断を行うことができるようになります。例えば売上が増加しても利益が伸びていない場合、売上と経費の関係を再検討する必要があります。また売上が伸びていても売掛金が膨らんできた場合、優先すべきは売上の拡大ではなくしっかり回収することだと言えます。また特定の局面で他の企業に投資すべきか否か、新事業を始めるか否か、コストを見直すか否か等、財務諸表を読む力があれば感覚や経験ではなく全てを数字に基づいて判断することができるようになります。更に他の企業の有価証券報告書を読めば、競合他社や取引先の経営状態を把握することができるようになります。その結果としてその企業と競合すべきか、取引すべきか、アライアンスを組むべきかなどの経営判断を数字に基づいて行うことができるようになります。
財務諸表を読む力があると経営判断の精度を更に高める事ができます。例えば損益計算書を詳細に分析すれば、売上の増減だけでなく、どの事業部門や製品が利益に貢献しているか、どのコストが過大かを把握できます。売上が伸びていても、広告費や人件費の増加により営業利益が圧迫されている場合は、コスト構造の見直しが必要であることがわかります。また、営業利益率や純利益率を比較することで、競合他社や業界平均と比べた自社の収益性の強みや弱みを明確にできます。MBA受験生にとっても、こうした数値に基づく分析力は、ケーススタディや戦略策定の際に不可欠なスキルとなります。
更に貸借対照表やキャッシュフロー計算書を活用すれば企業の資金繰りや財務健全性を総合的に把握できます。例えば売掛金や在庫の増加は、短期的な利益を押し上げる一方で、現金不足というリスクを伴うことがあります。負債の返済期限や自己資本比率を確認することで、資金調達や投資判断の優先順位を決めることが可能です。また、新規事業や設備投資の判断を行う際も、資金の余力やキャッシュフローの安定性を見極めることで、リスクを最小化しながら成長戦略を策定できます。このように、財務諸表を通じて数値に裏付けられた判断を行うことは、感覚や経験だけに頼る経営と比べて、はるかに精度の高い意思決定を可能にします。
更に他社の有価証券報告書や財務諸表を分析する力を身に付ける事で、競合環境や取引先の実態を正確に把握できます。例えば競合他社の利益構造や資産負債の状況を比較することで、自社の戦略的ポジションや弱点を把握でき、競争戦略や提携戦略をより合理的に設計できます。また、取引先企業の財務状況を事前に把握することで、与信管理や契約条件の設定、アライアンス戦略の立案にも役立ちます。このように、財務諸表を読む力は経営判断の精度を高めるだけでなく、競争優位性を確立する上でも不可欠なスキルであり、MBA受験生にとっても戦略的意思決定能力を鍛える基礎力となります。
加えて財務諸表を読む力は企業の将来シナリオを描く力にも直結します。単年度の数字だけでなく、複数期の損益やキャッシュフローの推移を分析することで、成長トレンドやリスクの兆候を早期に捉えることができます。例えば、売上や利益が安定していても、資産の回転率が低下していたり、負債比率が徐々に増加している場合は、将来的な資金繰りリスクや収益性低下の兆しと判断できます。また、財務指標を用いたシミュレーションにより、新規事業やM&A戦略のシナリオ分析を数値的に行うことも可能です。これにより、経営者は感覚ではなく、根拠ある戦略を描き、意思決定の精度をさらに高めることができます。MBA受験生にとっても、こうした数字に基づく戦略的思考はケーススタディや実務的課題で大いに役立つ力となります。
なぜ財務諸表を読む力が重要なのか:まとめ
財務諸表はビジネスの成績表であると言うことができます。成績表を正しく読む力がないと好成績を出す事ができないのは当然であると言えます。。そのためMBA受験に向けて必ず財務諸表を読む力を身に付けるようにしましょう。