2025年07月05日
組織文化の構造
エドガーシャインは組織文化には次の三つの階層があると述べています。
1-1.人工物
まず一番下の階層は人工物になります。例えば制服・朝礼・儀式・掲示板・ロゴ等が該当します。当然ですがこれらは組織文化を反映しています。しかしこれらの人工物はあくまで表面的なものであり、組織文化の階層としては最も下に位置付けされます。つまりこれらの表面的な内容を変化させたとしても、組織文化を変化させる効果は比較的低いと言うことができます。
1-2.標榜された価値観・信条
次に中間の階層は標榜された価値観・信条になります。例えばミッション、規範、フィロソフィー等が該当します。あなたも一度は目にしたことがあると思いますが、企業のオフィスやウェブサイトにはミッションや経営理念が書かれているケースが多くあります。これらが標榜された価値観・信条になります。当然ですが、これらも組織文化に大きな影響を与えます。企業によっては決まった儀式の中でこれらを声に出して読むこともあるそうですが、このような価値観や信念は組織文化に大きな影響を与えます。
1-3.基本的仮定
そして一番上の階層であり最も重要なのは基本的仮定になります。これが最も組織文化に影響を与えます。基本的仮定とは、組織の中で当然だと考えられることです。例えば企業で上司の命令が絶対であると考えられていると、自然とトップダウン型の組織になります。また最も重要なのは利益であると考えられていると、多少のモラル違反でも許容する文化が生まれる可能性があります。このように基本的仮定は組織文化を創る上で最も重要なものになりますが、この基本的仮定は「1」の人工物や「2」の標榜された価値観・信条で創られる訳ではありません。基本的仮定は経営陣の行動を通して確立されていきます。例えば企業が顧客第一主義であると主張しても、そうなる訳ではありません。しかし企業が判断に迷った時に顧客満足を優先させた場合、その行動を通して顧客第一主義という思想が浸透していきます。また特に企業が人事評価を行う場合に組織文化は形成されることになります。例えば企業が多少強引でも高い営業成績を出している社員を昇進させれば、周囲の社員は同じく多少強引にでも契約を取ってくるようになります。逆に企業がそういう行為をしっかりと罰すれば、従業員はモラルを強く意識するようになります。このように直接的に利害が関係する場面で組織文化は形成されていきます。
組織文化の構造:まとめ
以上がエドガーシャインが述べた組織文化の三つの階層になります。これらは非常に重要な概念になりますので、組織文化の形勢について考える場合はしっかりと意識するようにしましょう。