MBAは資格なのか?MBAの正体をわかりやすく徹底解説!

2025年04月25日

MBAとは?

1ー1.MBAは経営学の修士号です。

 まず結論から述べるとMBAとは「Master of Business Administration」の略で「経営学の修士号」になります。

 そして特定の経営大学院が卒業生に与える経営学の修士号を「MBAと言います。MBA(エム・ビー・エー)は「Master of Business Administration」の頭文字を取って作られた言葉です。大学卒業者に与えらえる学士号と本質的には同じです。ただし学士号とは異なり、経営学の大学院が発行する修士号をMBAと言います。巷では未だにMBAを資格と認識している人もいるようですが、MBAは資格ではないという事をしっかり意識して下さい。

1ー2.MBAは学歴です。

 MBAは資格ではなく学位です。そのためMBAは「学歴」であると言う事ができます。学歴に価値があるか否かについてここでは議論しませんが、一般的に難関大学に進学できた学生の方が、就職活動や転職活動に於いて有利であるというのは周知の事実です。また就職後の配属や社内の出世等にも影響するのも、同じく一般的には常識の範疇であると言えます。また例えば文系学部卒の学生が理系の研究職にアプライするのが難しいのと同様に、MBAを有していない人が経営幹部や経営コンサルティングなどの職種に申し込むのは難しいと言えます。

 MBAが資格のような印象を持っているのは、基本的にMBAを取得するには社会人経験が必須であり社会人が取得するものだからです。一般的に大卒者が一度社会に出た後に大学院に戻るケースは、他の分野ではそんなに多くありません。何故なら大学院に行くにはフルタイムで通学する必要があり、仕事を中断する必要があるからです。また一度社会に出た人が職業に直結しない大学院に行っても得られるものは少ないと考えられます。そのため社会人がキャリアアップするなら資格試験を受験するケースの方が圧倒的に多いと言えます。そのため社会人経験を有する社会人が取得するMBAも、何かの資格のような印象を与えてしまっていると言えます。しかしMBAは社会人が取得する大学院の学位(一部、新卒も可能)なので、この違いをしっかり覚えておいて下さい。

1ー3.MBAの評価は大学院や専攻で異なります。

 MBAは大学院の学位なのでMBAの評価や価値は大学院や専攻で異なるものになります。

 まずMBAの評価や価値は経営大学院(ビジネススクール)ごとに大きく異なるものになります。例えば世界最難関の一角であるハーバード大学やスタンフォード大学の経営大学院でMBAを取得するのと、比較的容易な受験を突破して取得できるMBAを取得するのとでは、評価や価値は全く異なります。例えば大学の経済学部を卒業して経済学士になったとしても、東大や京大で学士号(経済学)を取得するのと、入学・卒業が容易な大学で学士号(経済学)を取得するのとでは、市場の評価や価値は全く異なります。MBAもそれと同じです。そのためMBAの評価や価値は経営大学院ごとに大きく異なると認識して下さい。

 またMBAの評価や価値は専攻によっても大きく異なるものになります。例えばMBAで組織論を専攻したのと、ファイナンスを専攻したのとでは、その後のキャリアは異なるものになると考えられます。何故なら組織論を専攻した人が組織や人事の仕事をするならば知識をそのまま生かす事ができますが、ファイナンスの仕事をするなら、完全に無関係ではない(何故ならMBAでは総合的な経営学を学ぶ)にせよ、やはり評価としては低いものになります。これは例えば大学で法学部を卒業した人と、工学部を卒業した人の進路が異なるのと同じようなものです。MBAは経営学を総合的に学ぶので経営に関する事であればある程度は汎用性がありますが、やはり何を専攻したのかによって、市場からの評価や価値は異なるものになります。

 

資格とは?

2ー1.資格とは専門知識を証明するものです。

 一般的に「資格とは専門知識を証明するもの」になります。

 資格を取得するには試験に合格する必要があります。まず資格を取得するには資格試験を受けて合格する必要があります。例えば医師になるには医学部を卒業し、医師国家試験に合格する必要があります。弁護士になるには、司法試験や司法修習生考試に合格する必要があります。公認会計士になるには、公認会計士試験に合格する必要があります。これらの試験に合格するには、その分野における膨大な知識が必要となり、試験を突破する事で得た資格でその分野の専門知識を証明することができます。

 またそれに加えて一部の資格は実務経験も必要になります。受験資格に実務経験が必要なケースもあれば、試験合格後に実務経験が必要となるケースもあります。例えば中小企業診断士であれば試験合格後に1年間の実務経験が必要になります。(15日間の実務補習を受講する事で実務経験の代わりとする事もできます。)また技術士であれば二次試験を受験するには7年間の実務経験が必要になります。このように受験資格や資格登録に実務経験が必要なものもあります。これらの資格は条件を満たした上で登録申請する必要があります。そしてその後にその有資格者である事を名乗る事ができるようになります。

2ー2.資格には二種類の資格があります。

 資格には大きく分けて以下二種類の資格があります。

1.業務独占資格

 一つ目は「業務独占資格」です。業務独占資格は、その資格を有する事でしか業務を行う事ができません。例えば弁護士法第72条は次のように規定しています。

 「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訴事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して、鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」

 つまり弁護士資格を有しない者は、報酬を得る目的で弁護士業務を行うことはできません。業務独占資格は「有資格者」だけができる独占業務があり、無資格者は知識があってもこれらの業務を行う事はできません。業務独占資格には、医師や弁護士、会計士、税理士、弁理士、行政書士や社会保険労務士等があります。

2.名称独占資格

 二つ目は「名称独占資格」です。名称独占資格はその資格を有する事でしか、その資格保有者を名乗る事はできません。例えば中小企業診断士と名乗る事ができるのは、中小企業診断士の有資格者だけです。しかし、中小企業診断士のような名称独占資格には独占業務はありません。つまり有資格者しか「中小企業診断士」と名乗ることはできませんが、経営コンサルティング業務を行うのは中小企業診断士でなくても可能です。

2-3.資格には大きく分けて二つの発行機関があります。

 資格には大きく分けて以下二つの発行期間があります。

1.国

 一つ目は「国(又は地方自治体)」が発行する資格があります。最も有名な国家資格としては医師免許があります。これは厚生労働省が主管しており、医師国家試験に合格することで取得する事が可能です。一般的に国が発行する資格を国家資格と呼びます。国家資格には業務独占資格と名称独占資格の両方があります。

2.民間団体

 二つ目は「民間団体」が発行する資格があります。ビジネスで有名な民間資格として日商簿記やTOEICなどが挙げられます。簿記検定は有名な資格ですが、実は「日本商工会議所」が発行する民間資格になります。またTOEICは「一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会」という機関が運営しています。(米国にあるETS(Educational Teaching Service)がテストを開発しています。)このように有名な資格試験でも国家資格でないものがあります。基本的に民間団体が発行する資格に業務独占資格はありません。

 

MBAと資格

3.MBAと資格の比較をします。

 前述した通り、MBAは経営学の修士号であり学位です。そのため一部の国家資格と異なりMBAには法的な独占業務はありません。その意味では名称独占資格に近いのかもしれません。しかしMBAは高い価値があります。何故なら現代ではMBAを上回る経営学の学位・資格は存在しないからです。(博士号もありますが、これは一般的には研究者が取得する学位です。)つまりMBA保有者は「経営学の専門家」として扱われる事になります。これは資格では実現できない事です。

 また経営コンサルティング会社や就職・転職する場合、応募条件にMBAが必要条件であるケースがあります。その他の求人でも特に経営幹部レベルの求人だとMBA保有が必要条件となっているケースがあります。また一般の事業会社に勤務する場合でも、クライアント企業に経営について説明する場合や、また会社の内部で出世を目指す場合、その他「経営」という概念が関係する場面では、MBA保有者は有利になります。何故なら経営学の専門家であるMBA保有者は、その学位を取得する過程で多くの知識を吸収し、企業の分析や事例の研究を行いますが、その力が実際の経営に求められているからです。

 このようにMBAは資格ではなく学位ではありますが、特定の場面では業務独占資格のような力を持っていると言う事もできます。そのため、あなたが経営に興味を持っていれば是非ともMBAの取得を目指してみて下さい。