階層構造とマネジメントの三要素:階層化・統制の幅・権限移譲を解説

2025年06月26日

階層構造とマネジメントの三要素

1-1.階層化

 組織の階層化とは、中間管理職を入れることで組織の階層が増えていく事です。例えば5人の会社だと社長とそれ以外のメンバーで直接やり取りをすれば充分です。しかし50人の会社になれば、社長が全ての従業員に直接指示を出すのは非効率です。何故なら50人もいれば常に全員の動きを把握することが難しいからです。そのため階層を作る事になります。例えば社長を含む50人の組織であれば、残り49人を7人×7つの組織に分けることなどが考えられます。もちろん職種や担当する内容により分けるべきなので、数字だけで判断することはできませんが、基本的には下部組織を分けることになります。しかしその際は統制の幅に気を付ける必要があります。 

1-2.統制の幅

 統制の幅とは、一人の管理者が処理・コントロールできる数には限界がある事を言います。先ほどの例で社長を除く49人の組織を分けるにしても、例えば2つの組織にして、片方を42人、もう片方を7人とすれば効率的な運営は見込めなくなります。何故なら現実問題として階層化しても41人(42人組織からリーダー1人を除く)のメンバーに一人のリーダーが直接指示を出すのは難しいからです。そのため階層化する時には統制の幅を意識する必要があります。一般的に統制の幅は5~8人程度と言われています。そのため例えば先ほど挙げた通り7人×7つのチームに分けることなどは統制の幅という観点からは非常に合理的な方法だと言えます。しかし最も重要なのはその後に権限移譲することです。

1-3.権限移譲

 権限移譲とは、中間管理者に権限が委譲される事を言います。権限を委譲することにより上位管理者の負担は軽減されます。企業が階層化して下部組織を作った後は下部組織のリーダーを任命する必要があります。例えば先ほどの例で50人の組織であれば、1人が社長、残りの49人を7人×7つの下部組織で分ければ、社長の下に7人の下部組織のリーダーがいることになります。これらのリーダーに社長の一部の権限を委譲することで、社長の負担は軽減されることになります。大企業になればなる程、各部門の長がその部門の意思決定権を有してるのは常識です。そのため権限委譲は必ず必要になります。またこの例では下部組織のリーダーが7人なので、社長の統制の幅の範囲内ですが、これが例えば10人となればもう一つ間に階層(複数の下部組織を束ねる組織)が必要になります。このように組織は数が増える度に階層化と権限委譲が行われていきます。

階層構造とマネジメントの三要素:まとめ

2-1.階層構造と三要素をしっかり覚えておきましょう。

 企業は拡大の過程で必ず階層化・権限委譲を行っていく事になります。またその際は常に統制の幅を意識する必要があります。そのためこれらの内容はしっかりと覚えておくようにしましょう。そして経営組織について検討する時はこれらを常に意識しながら思考するようにしましょう。