2025年06月30日
目次
MBA予備校の講師に求められる能力
MBA予備校の講師には経営学の知見が絶対に必要です。その理由は次の通りです。
1-1.経営学の視点から問題の本質を見抜く能力
MBA予備校の講師は経営学の視点から問題の本質を見抜く必要があります。実際に私が扱った例をご紹介します。とある大企業メーカーの営業部に所属している方が、自社の製品が売れにくくなっていると感じていたそうです。そのためマーケティングを学んで自社の製品やサービスをより売れるようにしたい、というのが彼が志望理由書に書いた志望理由でした。実はこれは良くある志望理由ですが、このケースで彼にとって本当に重要なのがマーケティングであるかは少し疑問でした。何故なら、マーケティングを学んだ所で、営業部に所属する一人の社員である彼がその立場で会社の上司に何かを訴えても、会社全体の意見として採用されるかどうかは極めて怪しいと感じたからです。彼とこの話を進めていくと、彼は売れない理由はしっかり理解できており、実は本当に求めているのはその意見が経営陣に届きやすい組織づくりであることが分かりました。その後、彼は自分が本当に興味を持っているのは組織論であり、組織や人事制度について学びたいということに気付いたようで、それまでの会社員として組織や人事関係で苦しんだ話をしっかり書き落とすと、素晴らしい志望理由書ができました。もちろん志望校に合格できたのは言うまでもありません。このように講師に基本的な経営学の知識が身についていないと、受験生が本当に学ぶべき内容を提案することができません。その意味で講師には経営学の知見が不可欠であると言えます。
1-2.経営学の知識を持ち経営的な思考をする能力
MBA予備校の講師は経営学の知識を持ち経営的な思考をする必要があります。例えば小論文対策として、特定の課題に対する回答を考えるとします。「とある企業に問題が発生しているが、この問題を解決するにはどうすればいいか?自分の考えを300字で述べよ。」と問われた場合、これが経営戦略に関する内容であれば「ファイブ・フォース分析」「リソース・ベースドビュー」などのコンセプトを知らないと、正しく問題の解決方法を導き出すことはできません。また同時に組織に関する内容であれば「モチベーション理論」「マズローの欲求段階説」「従業員エンゲージメント」などのコンセプトを知らないと、同じく正しい答えを導き出すことは難しいと言えます。基本的に経営学に関する問題は絶対的な答えがない問題が多くあります。ケーススタディでも、唯一絶対の答えがないからこそ、議論し合うことに価値があるのです。しかし大前提として経営学の知見がないと、非効率な議論になってしまうので、議論の価値が低いものになります。例えるなら刑法を全く知らない状態で犯罪事件のストーリーを読み、その中にある違法性を見つけるのは不可能です。これと同じであくまで経営学の知識があるからこそ、経営的な思考をすることで効果的な答えを導くことができるようになるのです。そのため講師に経営学の知見があるのは絶対に必要な条件であると言えます。
1-3.経営学の知見から受験生に必要な知識を提供する能力
MBA予備校の講師は受験生に足りない知識を把握して、その知識が身に付くように書籍や論文を提案する必要があります。しかし自身に経営学の知見がないと、当然ですが、受験生に足りない知識を提案することなど絶対にできません。ましてやビジネススクールを受験する受験生は社会人であり、その分野のプロなので、講師ですらその分野では受験生に劣るのが当然です。例えばビジネススクールを受験する医師以上に医学知識・経験を有する講師などいませんし、ビジネススクールを受験するエンジニアよりその分野の知見を有する講師など同じくいないと言っても過言ではないでしょう。しかしMBA予備校の講師は経営学の知見を有しているからこそ、経営学の観点から受験生に足りない知識が把握できるのです。ビジネススクールは入学した後に経営学を学ぶのが普通ですが、基本的にビジネススクール(特に人気の難関校)を受験するには、自分の学びたい分野については入学前にしっかりと学んでおく必要があります。そうでないと合格水準の小論文や研究計画書を作り上げることはできません。そのためMBA予備校の講師は経営学の知見を絶対に有している必要があり、またその講師は経営学の学習を継続的に行っている事が不可欠であると言えます。
MBA予備校の講師に求められる能力:まとめ
2-1.MBA予備校の講師の能力をしっかりと意識しましょう。
あなたがこれからビジネススクールを受験する場合、予備校の講師の能力をしっかりと意識して下さい。こんな事を言う理由は、私自身が実際に経営学の知見が乏しい講師から指導を受けて不合格になり、今でも深く後悔しているからです。あなたがビジネススクールの合格を勝ち取りたい場合は、予備校の規模ではなく、予備校の実績ではなく、あなた個人を指導してくれる講師の経営学の知見の高低をしっかりと見定めて下さい。それが志望校合格の第一歩になります。