キャッシュフロー計算書とは?利益と現金の違いを理解しよう

2025年07月07日

キャッシュフロー計算書

1-1.キャッシュフロー計算書とは何か?

 キャッシュフロー計算書とは企業の一定期間のお金の動きを表す財務諸表になります。英語で「Cash Flow Statement」と書くので頭文字を取って「C/F」(シーエフ)とも呼びます。キャッシュフロー計算書は損益計算書とは異なり一定期間の現金の動きを表します。損益計算書は一定期間の利益(又は損失)を計算するものですが、損益計算書で算出した利益は現金とは一致しません。何故なら利益にはまだ回収できていない売掛金や、支払っていない買掛金などが含まれているからです。そのためキャッシュフロー計算書を使い実際に一定期間内の現金の動きを把握する必要があります。

1-2.なぜC/Fで現金の動きを把握する必要があるのか?

 これは簡単なことですが、現金の出入りが管理できていないと倒産するからです。具体的な例を出します。例えばあなたがビジネスを営んでいるとします。そして手元に現金が1,000万円あるとします。今月に一生懸命営業を頑張り、売上が2,000万円発生したけど、実際の入金は6ケ月後だとします。しかしそれまでに毎月300万円以上の経費支払いが現金で発生するとします。このケースでは4ケ月後は支払いを行うことができなくなります。何故なら売上が入金されるまでに手元の現金が尽きてしまうからです。このケースでは半年の売上が2,000万円・経費は1,200万円で利益が800万円出ている筈ですが、現実的には破綻してしまうのです。このように利益を出すのも大切ですが、最も大切なのは現金の動きを把握することです。そうしないと黒字倒産が待っています。よって企業は常に現金の動きを把握する必要があります。また外部の利害関係者も実際に現金の動きはどうなのかを定期的に確認する必要があります。

1-3.外部の利害関係者がC/Fを重視する理由

 外部の利害関係者がキャッシュフロー計算書を重視する理由は、倒産リスクを把握できる、利益操作の有無が分かる、返済能力が把握できるというメリットがあるからです。倒産リスクが把握できるのは上記の通りですが、キャッシュフロー計算書があれば利益操作についても理解することができます。何故なら現金は嘘を付かないからです。外部の利害関係者が最も警戒しているのは、損益計算書に書かれた利益の真実性です。企業は架空の売上や経費を操作することで自社に都合の良い財務諸表を作成することができます。(もちろん違法です。)しかし実際にこのような行為を行っている企業は大企業でも存在しています。最も有名なのはエンロン社とワールドコム社でしょう。大企業である両社は不正会計・粉飾決算により倒産しました。これは経営陣の罪ですが、投資家がこのような粉飾決算を見抜けない限り大損してしまいます。このように外部の利害関係者が最も恐れるのは企業の粉飾決算です。しかしキャッシュフロー計算書と併せて分析すれば、このリスクを軽減することができるようになります。何故なら利益と現金収支の数字がかけ離れていると、粉飾決算を行っている可能性を見抜くことができるようになるからです。そのため外部の利害関係者はキャッシュフロー計算書も貸借対照表や損益計算書と同じように重視しています。

キャッシュフロー計算書:まとめ

 上記がキャッシュフロー計算書の概要になります。キャッシュフロー計算書(C/F)は貸借対照表や損益計算書と同じく非常に重要な財務諸表になりますので、これについてもしっかりと学ぶようにしましょう。キャッシュフロー計算書は三つの区分がありますが、これについては別記事でご紹介させて頂きます。