2025年07月08日
マーケティングミックス
「マーケティング・ミックス」とは企業が製品・サービスを効果的に売るために製品・価格・流通・プロモーションの4つの要素を組み合わせて最適な戦略を策定する事です。4Pの内容と詳細はそれぞれ以下の通りです。
1-1.Product(製品)
マーケティングミックスの一番目のPは「Product(製品)」になります。
企業がどのような製品(又はサービス)を製造し販売するかを考えるのが最初のPになります。例えば腕時計を製造するにしても、原材料や製品設計はどうするかなど、製品の仕様を決める際には考慮すべき要素が多くあります。もちろんこれはターゲットとする顧客セグメントや企業の強みを考慮して決定すべきものになります。ターゲット・セグメントが好む原材料を使用し、購入したくなる製品設計を行うのは売れる製品を作るには当然の行為です。このようにどのような仕様の製品を作るかを考えるのが最初のPになります。
製品戦略は顧客ニーズや市場の状況に応じて差別化された価値を提供する事が重要です。まず、他社製品と明確に差別化できる特徴や独自性を設計しブランド価値を高めます。次に品質やデザインは顧客満足度やリピート購入に直結するため慎重に設計すべきです。また製品ラインアップの戦略も重要で、主力製品で市場を押さえつつ、補助的な製品で顧客層を拡大することで総合的な競争力を強化できます。更に新製品開発や既存製品の改良を通じて、常に市場の変化に対応することも欠かせません。これらを統合的に考えることで、企業は長期的な成長と収益を確保できます。
1-2.Price(価格)
マーケティングミックスの二番目のPは「Price(価格)」になります。
企業が製造した製品・サービスを幾らで販売するかを考えるのが二番目のPになります。企業が販売する製品仕様を決定するにしても、それをいくらで販売するかによって原材料に掛けられるコストや顧客セグメント、更には流通先も変わってきます。仮に1つ100万円の時計を製造するなら高給時計を作ることになります。そうすれば原材料は高価な原料を使用すべきであり、顧客セグメントは富裕層か時計が好きな人等が中心になると思います。また販売するにしても、流通する場所は百貨店の高級フロア等が適しているでしょう。しかしこれが1つ5,000円の時計ならば、原材料や顧客セグメント・流通すべき場所は全く異なるものになります。このようにマーケティングで価格は非常に重要な要素であり、それを考えるのが二番目のPになります。
企業の価格戦略は売上や利益に直結するため極めて重要な意思決定になります。まず「コストベース価格」では、製造コストや運営費に一定の利益を上乗せして価格を設定します。次に「価値ベース価格」では、顧客が製品やサービスに感じる価値に基づいて価格を決定しブランド力や差別化戦略と連動させます。最後に「競争ベース価格」では、競合他社の価格や市場動向を参考にして顧客の選択行動を意識して価格を設定します。更に割引やキャンペーン、プレミアム価格などの施策を組み合わせることで、短期の売上拡大と長期のブランド価値維持を両立させることができます。このように企業は価格を単なる数字として設定するのではなく、顧客心理や市場環境を踏まえて戦略的に価格設定を行う必要があります。
1-3.Place(流通)
マーケティングミックスの三番目のPは「Place(流通)」になります。
企業が製造した製品・サービスをどのように流通させるかを考えるのが三番目のPになります。企業は価格や製品仕様を決定した上で出来上がった製品を販売する場所を選択する必要があります。もちろん販売する場所は自社がターゲットにする顧客セグメントにアプローチしやすい場所に設定すべきです。例えば先ほどの高級時計の例であれば百貨店の高級フロア等が適していますし、大衆向けの飲料水であればコンビニエンスストアやドラッグストア、もしくは自動販売機などが適していると考えられます。このように製品・価格が決まっていても流通先を間違えると製品(又はサービス)は全く売れなくなりますので、自社の顧客セグメントにアプローチしやすい場所に流通すべきであると言えます。このように流通先を考えるのが三番目のPになります。
流通戦略は製品・サービスを顧客に効率よく届けるための計画であり企業の売上と顧客満足度に直結します。流通戦略としてはまず「チャネル選択」が重要で、直販・代理店・オンライン販売など、製品や顧客層に応じて最適な経路を決定します。次に「流通効率」を高めるため、物流や在庫管理を工夫し低コストで商品を届ける仕組みを整備します。また店舗では「立地戦略」が重要であり、アクセスの良さや周辺環境を考慮して顧客の来店を促進します。更に「オムニチャネル戦略」など、オンラインとオフラインを統合する取り組みを行います。このように企業はさまざまな流通戦略を策定することにより顧客体験を向上させて競争優位を築くことが可能になります。
1-4.Promotion(販売促進・プロモーション)
マーケティングミックスの四番目のPは「Promotion(販売促進・プロモーション)」になります。
企業が製造した製品・サービスをどのように販売促進するかを考えるのが四番目のPになります。企業は製品・価格を決定し、流通先を決定したとしても、その流通先に顧客を集めるために販売促進が必要になります。例えばドラッグストアに製品を置いたとしても、ドラッグストアが商圏内にチラシを打ったり、店舗内の陳列棚の目立つ場所にその物を置かないと商品は売れません。また百貨店の高級フロアでも、定期的に何らかの広告を打たないと顧客が来てくれることはありません。自社で店舗を構えたり、オンラインサイトを開設した場合は、同じく自社でプロモーションを行って顧客を集める必要があります。このように流通先がエンドユーザーに販売促進しないと商品が売れることはありません。そのため販売促進・プロモーションは極めて重要なマーケティング・プロセスであり、それを考えるのが四番目のPになります。
プロモーション戦略は製品・サービスの価値を顧客に伝えて購買行動を促す戦略です。広告やSNS・イベント・販売促進など多様な手法を組み合わせ、ターゲット顧客に最適なメッセージを届けることが重要です。また短期的な売上向上だけでなく、ブランド価値や顧客ロイヤルティの向上も意識する必要があります。プロモーションする対象は製品だけではなく企業自体やブランドも対象になりますので、これについてもしっかりと検討する必要があります。更にオンラインとオフラインのチャネルを統合したオムニチャネル戦略により、顧客接点を最大化し効果測定と改善を繰り返すことでプロモーションの成果を最大化する事が可能です。戦略的に設計されたプロモーションは企業の競争優位を築く重要な要素になります。そのため企業はしっかりプロモーションに力を入れる必要があります。
マーケティングミックス:まとめ
以上がマーケティングミックスの内容と詳細になります。マーケティングミックスはマーケティングを考える上で極めて重要なコンセプトになりますので、しっかりと上記を理解して覚えておくようにしましょう。また企業分析を行う場合は企業の各事業のマーケティングミックスを分析できるようになりましょう。MBA受験では企業分析を行う上でマーケティングミックスを理解しておく事は不可欠な行為になりますので、マーケティングミックスはしっかりと理解するようにしておいて下さい。