マーケティング戦略の基本:4Pと4Cの関係性をMBA視点で解説

2025年07月09日

マーケティングの4Pと4C

「マーケティングの4P」(製品・価格・流通・販売促進)と「マーケティングの4C」(顧客価値・コスト・利便性・コミュニケーション)はそれぞれ密接に関係しています。その理由と詳細はそれぞれ以下の通りです。

1-1.Product(製品)とCustomer Value(顧客価値)

 マーケティングの4PのProduct(製品)と4CのCustomer Value(顧客価値)は直接的に関係しています。

 マーケティングのProduct(製品)とCustomer Value(顧客価値)が長期的に関係している理由は、企業が顧客に提供する製品こそが顧客に価値をもたらすからです。例えば「シャンプー(製品)」を製造する企業は「髪を綺麗にする」という顧客価値を提供しています。また「冷蔵庫(製品)」を製造する企業は「飲食物を冷やす・冷たい状態に保つ」という顧客価値を提供しています。このように製品と顧客価値は直接的に関係しています。企業が提供する製品が顧客に価値をもたらすのです。

 更にこの関係性を理解することはマーケティング戦略を設計する上で非常に重要です。何故なら製品自体の特徴や性能だけを重視して開発しても、顧客が求める価値と合致していなければ購買にはつながらないからです。例えばスマートフォンを例にとると、カメラの高画質化やバッテリー長寿命といった製品の機能は、顧客にとって「高品質な写真を撮りたい」「長時間安心して使いたい」といった価値を提供することにつながります。また製品のデザインや操作性も、顧客にとっての使いやすさや満足度という価値を生み出します。このように企業は製品を通じて顧客価値を実現することを常に意識する必要があり、4PのProductと4CのCustomer Valueは戦略設計において表裏一体の関係にあると言えます。

1-2.Price(価格)とCost(コスト)

 マーケティング4PのPrice(価格)と4CのCost(コスト)も直接的に関係しています。

 マーケティングのPrice(価格)とCost(コスト)が関係している理由は、企業の定めた価格というのは顧客にとってのコストだからです。例えば企業が自社で製造したノートパソコンを1台10万円と決定すると、これを購入する顧客にとってはそのノートパソコンを1台購入するコストは10万円だと言うことができます。このように企業が決定する価格は顧客にとってのコストであると言うことができます。そのため企業は常に顧客にとってのコストという視点で価格を決定する必要があります。

 更に価格とコストの関係性を意識する事は顧客の購買意欲に大きく影響します。単に原価や利益率から価格を設定するだけでは、顧客が支払う価値と価格のバランスが崩れ、購入をためらわせる可能性があります。例えば高性能なノートパソコンでも、顧客が「10万円は高すぎる」と感じれば購入は発生しません。逆に性能やデザイン、サポートなどの価値に対して「妥当な価格」と感じられれば、顧客は購入に踏み切りやすくなります。このように4PのPriceは単なる販売価格ではなく、4CのCostとして顧客視点で捉えることが重要です。企業は顧客が負担と感じるコストと提供する価値のバランスを意識しながら価格戦略を設計することで、売上の増加や顧客満足度の向上につなげることができます。顧客にとって納得できる価格設定こそ戦略的マーケティングには重要であると言えます。

1-3.Place(流通)とConvenience(利便性)

 マーケティング4PのPlace(流通)とConvenience(利便性)も直接的に関係しています。

 マーケティングのPlace(流通)とConvenience(利便性)が関係している理由は、企業が製品を流通する先により顧客視点で見た利便性が変化するからです。例えば企業が自社製品をオンラインストアや巨大な規模の小売店チェーンに流通した場合、顧客から見た利便性は高まります。何故ならその製品を入手することが容易になるからです。しかし流通先が限られると、顧客から見た場合にその製品を入手できる場所が限られてくることになり、顧客から見た利便性は低いものになります。このように流通と利便性も密接に関係しています。顧客に対する利便性を高めるには、流通先を広げるか、顧客がアプローチしやすい場所に製品を流通する必要があります。

 更に顧客視点での利便性を高める事は購入行動やブランドに対する好感度の向上にも直結します。例えば食品メーカーが自社製品をスーパーマーケットやコンビニエンスストア、オンライン販売まで幅広く展開すれば、顧客はいつでも必要なときに製品を手に入れやすくなります。その結果として顧客満足度が向上し、リピート購入や口コミによる新規顧客獲得にもつながります。逆に流通チャネルが限定され、購入のハードルが高い場合は、顧客は他社製品に流れる可能性があります。このように4PのPlaceは単なる販売ルートではなく4CのConvenienceとして顧客にとっての利便性を最大化する戦略的手段になります。企業は顧客がどこで、どのように製品を入手したいかを把握し、それに応じた流通戦略を設計することで、競争優位性を築くことができるようになります。

1-4.Promotion(販売促進)とCommunication(コミュニケーション)

 マーケティング4PのPromotion(販売促進)とCommunication(コミュニケーション)も直接的に関係しています。

 マーケティングのPromotion(販売促進)とCommunication(コミュニケーション)が関係している理由は、企業が製品・サービスを売るにはプロモーションだけではなく顧客とのコミュニケーションを充実させる事が重要になるからです。一方通行のプロモーションを行っても顧客対応が不充分であれば購買は発生しませんし、SNSのような場所での口コミや顧客の声などを充実させていかないと同じく購買を促すことは難しくなります。つまり企業が行うプロモーションには顧客とのコミュニケーションが不可欠であり、顧客とのコミュニケーションは企業が行うプロモーションに不可欠な手段であるとも言えます。このようにプロモーションとコミュニケーションは密接に関係しています。

 更にプロモーションとコミュニケーションの関係性を理解する事はマーケティング戦略において不可欠であると言えます。現代では単に広告を出すだけといった従来型のプロモーションでは顧客の信頼や満足度を高めることは難しくなっています。例えばSNSやメールマーケティング、チャットサポートなどを通じて顧客と双方向のコミュニケーションを行うことで、製品やサービスの魅力を効果的に伝えられるだけでなく、顧客の疑問や不安を解消し、リピート購入やブランドロイヤルティの向上につなげることができます。また顧客の声を収集して改善に反映させることで、より価値の高い製品やサービスを提供できるようになります。このように4PのPromotionは単なる販売促進活動ではなく、4CのCommunicationとして顧客との関係を築き持続的な購買につなげる戦略的手段となります。

マーケティングの4Pと4C:まとめ

 以上がマーケティングの4Pと4Cの関係性になります。上記の通りマーケティングの4Pとは企業視点であり、マーケティングの4Cとは顧客視点であると言うことができます。そしてそれぞれが密接に関係しています。そのためMBA受験に向けて、これらの関係性をしっかりと理解した上でマーケティング戦略を立案できるようになりましょう。