国内MBA出願に必要な英語試験まとめ|TOEIC・TOEFL・IELTSの違いと選び方

2025年09月23日

国内MBA受験に必要な英語試験

国内MBA受験で必要になる英語試験には「TOEIC/TOEFL/IETLS」の三種類があります。(これはビジネススクールにもよりますが、スクールによっては「TOEIC/TOEFL」の二種類だけ可能なケースや英検が認められるケースもあります。)これらの試験の詳細以下の通りになります。

1-1.TOEIC

 まず一つ目は「TOEIC」になります。

 TOEICは日本国内で最も広く知られている英語試験の一つであり、多くのビジネスパーソンが受験経験を持つテストです。正式名称は「Test of English for International Communication」で、その名の通り国際的なビジネスコミュニケーションにおける英語運用能力を測定することを目的としています。リスニングとリーディングを中心とした試験形式で構成され、990点満点というスコアで評価されるため、自分の英語力を数値化して把握しやすいという特徴があります。(TOEICにはスピーキング&ライティング試験もありますが一般的にビジネススクール受験で求められるのはTOEICリスニング&リーディングのスコアになります。)

 国内MBA出願時にTOEICが求められる背景として、日本における普及率と企業での利用実績が挙げられます。多くの大学や大学院は、出願者が既に受験している可能性が高いという点を考慮し、TOEICのスコア提出を認めています。特に社会人経験者を対象とする国内MBAでは、職場での昇進や評価のためにTOEICを受験してきた受験生が多く、受験環境としても準備がしやすいと言えます。

 一方で、TOEICには幾つかの特徴的な側面があります。まず試験範囲が「リスニング」と「リーディング」に偏っている点です。TOEFLやIELTSのようにスピーキングやライティングが含まれないため、実際の授業で求められる「発言力」や「論理的な文章作成力」を直接測るものではありません。そのため、TOEICのスコアだけでは実践的な英語運用能力を完全に示せないという限界があります。ただし、読解スピードやビジネス文脈でのリスニング能力を示すには十分な指標となるため、「基礎的な英語力の証明」としては有効です。

 また国内MBAのプログラムによってはTOEICに高得点を求める傾向が強い場合があります。例えば、700点台から800点以上を一つの目安とする学校も多く、特に英語で開講される科目を多く含むプログラムではさらに高いスコアが期待されることもあります。TOEICのスコアを伸ばすには、問題形式に慣れた学習が効果的です。公式問題集を繰り返し解き、リスニングでは短時間で要点を掴むトレーニング、リーディングでは英文処理スピードを高める訓練が欠かせません。

 しかしTOEICは世界的には必ずしもメジャーな試験ではない、という点も押さえておく必要があります。TOEFLやIELTSに比べると、海外大学院や国際機関では評価対象にならないケースが多いため、国内MBAに特化した「国内向け英語試験」と考える方が自然です。したがって、将来的に海外ビジネススクールへの進学や国際的なキャリア形成を目指す場合には、TOEICのスコアだけに依存するのではなく、TOEFLやIELTSのスコア取得も視野に入れて準備を進めることが望ましいと言えます。

 総じてTOEICは「受験生の多さ」「学習環境の整いやすさ」「数値化の分かりやすさ」という利点から、国内MBA出願において最も取り組みやすい試験であると言えます。ただし、試験内容の性質上、英語で議論をしたり論文を執筆したりする実践力までは示せないため、合格後の授業参加に備えてスピーキングやライティング力を別途強化しておくことが、最終的にMBA生活を成功させる鍵となります。

1-2.TOEFL

 次に二つ目は「TOEFL」になります。

 TOEFLは主に米国MBA(米国大学院)の受験時に必要な英語試験になります。TOEFLは「Test of English as a Foreign Language」の略称で、英語を母語としない人々が、大学や大学院で授業を受けられるだけの英語力を持っているかどうかを測定するために開発された試験です。世界的に広く利用されており、特に北米や欧州の大学院への出願においては事実上の標準的な英語試験とされています。国内MBAにおいても、国際的な評価基準に準拠するという意味でTOEFLスコアの提出を求めるプログラムが増えており、海外留学やダブルディグリーを視野に入れている受験生にとっては重要な試験となります。

 TOEFLの最大の特徴は4技能(リスニング・リーディング・ライティング・スピーキング)を総合的に測定する点になります。TOEICが主にリスニングとリーディングに特化しているのに対し、TOEFLはスピーキングやライティングを含むため、より実践的な英語運用能力が試されます。特にスピーキングセクションでは、与えられたトピックに対して短時間で意見をまとめ、英語で発表する能力が必要になります。これはMBAの授業で行われるディスカッションやプレゼンテーションに直結するスキルであり、ビジネススクール側がTOEFLを重視する大きな理由のひとつです。

 またライティングセクションでは与えられた課題を要約するタスクや自分の意見を論理的に展開するエッセイの作成が求められます。国内MBAであっても、ケーススタディのレポートや修士論文の執筆には相応の英語力が必要とされるため、TOEFLはその適性を測るのに適した試験といえるでしょう。

 国内MBA受験におけるTOEFLの位置づけはビジネススクールによって異なります。英語での授業比率が高いプログラムや、海外提携校との交流が盛んなプログラムではTOEFLを必須とするケースが多く見られます。一方で、英語の比重が比較的低いプログラムではTOEICと並列して提出可能にしている場合もあります。ただし、TOEFLのスコアを提出することで「より国際的な学習環境に対応できる準備が整っている」とアピールできるため、同じ出願条件であっても差別化の要素になり得ます。

 TOEFLの難点としては試験そのものの負担の大きさが挙げられます。問題文や音声の分量が多く、長時間集中力を維持する必要があるほか、スピーキングでは限られた準備時間で即座に回答する力が求められます。さらに試験会場や受験料の負担もあり、TOEICと比べて心理的・経済的ハードルが高いのも事実です。しかし、MBAを志す受験生にとっては「自分が本当に国際的な環境で学び、議論し、成果を出せるか」を測る良い機会でもあります。

 学習方法としては、リスニングやリーディングはTOEICの対策と一部重なる部分がありますが、特に重要なのはスピーキングとライティングの対策です。英語で自分の意見を構造的に表現する練習、限られた時間内で要点を整理するトレーニング、そして模擬試験を通じた実戦慣れが不可欠です。MBAの授業では、即興的な発言力や論理的な文章作成力が強く求められるため、TOEFLの学習を通じて得られるスキルは、入学後に大いに役立ちます。

 総じて、TOEFLは国内MBA出願において「国際的な学習環境に適用できる実力」を客観的に示す事ができる試験です。受験の負担は大きいものの、スコアを提出することで学校側に与える信頼感は強く、将来的に海外との連携を視野に入れる受験生にとっては極めて有利に働く選択肢と言えます。

1-3.IELTS

 最後に三つ目は「IELTS」になります。

 IELTSは主に欧州MBA(欧州大学院)の受験時に必要な英語試験になります。「International English Language Testing System」の略称で、イギリスやオーストラリアをはじめとする英語圏で広く利用されている英語能力試験です。世界中で受験者数は年々増加しており、特にヨーロッパやアジア圏の大学・大学院出願で標準的に利用されています。国内MBAにおいても、国際的な認知度の高さや、試験内容が実践的であることから、TOEFLと並んで評価対象となるケースが増えてきています。

 IELTSの大きな特徴はTOEFLと同様に「リスニング・リーディング・ライティング・スピーキング」の4技能を総合的に測定する試験である点です。しかし、試験の実施方式には独自の特徴があります。特にスピーキングテストは、TOEFLのようにコンピュータに向かって回答を録音する形式ではなく、試験官との1対1の面接形式で行われます。このため、より自然な会話力や即興的な受け答えが試されることになり、実際のMBA授業やディスカッション環境に近い形で能力を確認できます。これは、単なるテストスコア以上に、コミュニケーション力を重視するビジネススクールにとって評価の対象となるポイントです。

 またライティングに関しても、与えられたデータや図表を分析して説明するタスクや、自分の意見を論理的に展開するエッセイが課されるので、MBAで求められる分析力・論述力との親和性が高いと言えます。リーディングやリスニングもアカデミックな題材を中心に構成されており、経営学や社会科学の文献を扱う国内MBAの学習内容と重なる部分が多く、学習過程そのものが実践力の養成につながります。

 国内MBA受験においてIELTSが選択肢に含まれる場合、特に海外志向の強いプログラムや欧州・アジアの大学との交換留学を視野に入れているスクールでは高く評価される傾向があります。TOEFLが北米寄りであるのに対し、IELTSはイギリスやオーストラリアの大学との親和性が高いため、将来的に欧州やオセアニア圏との学術交流を目指す受験生にとっては有利な試験と言えます。

 一方で、国内MBAにおける実際の応募要件を見ると、TOEICやTOEFLに比べてIELTSの提出を必須としているビジネススクールはまだ少数派です。そのため、IELTSを選ぶかどうかは、自身の進路や将来のキャリア設計を踏まえて慎重に判断する必要があります。ただし、スピーキングが得意で、面接形式の方が力を発揮できる受験生にとっては、TOEFLよりもIELTSの方が適している場合もあります。

 試験準備においては、特にスピーキングとライティングの練習が重要です。面接官とのやり取りに慣れるために模擬面接を繰り返すこと、そしてエッセイの論理展開を意識して書く練習を積むことが効果的です。リスニングやリーディングは比較的オーソドックスな学習法で対策可能ですが、発音・イントネーション、即時的な受け答えのスキルはTOEICやTOEFL対策だけでは補えない部分となるため、意識的に鍛える必要があります。

 総合的に見るとIELTSは実際のコミュニケーション力を重視するMBA受験生に適した試験であり英語力をスコア以上にアピールできる可能性を秘めています。国内MBAにおいても今後さらに認知度が高まっていくと考えられるため、特に国際的なキャリアを志す人にとっては有力な選択肢となります。

国内MBA受験に必要な英語試験

 以上が国内MBA受験に必要な英語試験の詳細になります。これらは出願時から逆算して約2年前程度のスコアまでが有効になります。(ビジネススクールによります。)よって過去に高得点を取得した事がある場合でも再び用意する必要がありますので、しっかり意識して英語の勉強を始めるようにして下さい。英語試験の対策を始める時期はMBA受験をすると決意した時からです。当スクールでは英語試験対策も行っていますので、英語スコアでお悩みの場合はいつでもご相談下さい。