研究計画書を作成する前に必要な準備

2025年05月09日

研究計画書の準備

あなたがビジネススクールを受験するに際して研究計画書は非常に大切なものになります。そのためいきなり思いつきで研究計画書を書くのではなく、まずは以下の準備をしましょう。

1-1.仕事上の成果

 まず一点目は仕事上の成果の棚卸しです。この成果を徹底的に棚卸ししてから実績を用意しましょう。実はこのプロセスはとても大変です。何故なら多くの人が「成果=高い実績」だと認識しているからです。例えば大手の求人広告会社に入社して「その年のセールス実績が全国一位になった。」とか「所属企業で史上最年少で役職が付いた。」というのはとても分かりやすい実績です。もちろんこのような実績も棚卸ししましょう。簡単には成し遂げられない実績を有しており、研究計画書でアピールできる内容があればそれに越したことはありません。
 しかし実は研究計画書に求められている実績というのは必ずしもそのような実績ではありません。例えば「その年のセールス実績が全国一位になった。」という実績を持つ人でも、その実績が志望動機や研究テーマと結びつかなければ入試ではあまり価値がありません。むしろ「その年のセールス実績が全国三番が何度も続いた。」と書き「一位と二位の人達と話し合った結果、彼等の高実績の源泉はクライアント企業を分析し的確に求められているものを提案ができる力である事に気付いた。だから私も貴大学院に入学し経営学の知見を高めたい。」と書く方が研究計画書としては高い評価が得られるでしょう。
 つまり「仕事上の成果=高い実績」という認識は誤りであり、客観的に見て小さな成果、定量化できない成果(例.社内のコミュニケーションを円滑にした等)、また躓いた成果(失敗経験)こそが合格できる研究計画書作成には必要な成果になります。そのため小さい成果や失敗した経験も含めて、自分が必死になってチャレンジしてきた経験とや意図的に取り組んだ仕事上の成果を棚卸しして用意するようにしましょう。

1-2.キャリアプラン

 次に二点目はキャリアプランです。ここで重要なのは「現在のキャリアプランを考える。」というものになります。何故なら現実にはビジネススクール入学後にキャリアプランが変わってしまう人もたくさんいるからです。例えば仕事上の課題を解決したいと考えてビジネススクールに入学した後に研究の楽しさに魅了されて博士後期課程に進学する人はたくさんいます。また自分の会社で経営幹部になろうと考えて入学したのに、在籍中に経営コンサルティングに興味を持ち転職する人もいます。このようにキャリアプランを描いても必ずしもその通りになるとは限らないのが実情です。しかしそれは結果論であり、研究計画書には噓偽りない「現在、描いているキャリアプラン」を書く必要があります。ここに嘘があれば論外ですので、現在のキャリアプランを本音でしっかり文章でまとめて用意するようにしましょう。

1-3.志望動機

 三点目は志望動機になります。キャリアプランと同様にここで重要なのは「現在の志望動機を考える。」という事になります。志望動機の例としては、仕事上で特定の問題にぶつかり、それを解消するにはビジネススクールで学ぶ(又は研究する)必要があると感じた、そのために貴大学院に入学したいなどです。志望動機が難しいのは「研究計画書に書ける理由とそうでない理由がある。」という点になると思います。例えばあなたがA大学のビジネススクールに入学したいとします。志望動機としては仕事上で課題を抱えておりその解決に向けて入学したい、という「書ける理由」もあれば、会社帰りに通いやすい・家から近い・有名大学だから入りたい・国公立だから学費が安い等、一般的に研究計画書に「書けない理由」もあると思います。しかし志望動機には両方あるのが普通ですので、まずは両方の志望動機を用意するようにしましょう。その上で研究計画書に書く時に書く前に書くべき内容を決めましょう。

1-4.研究したい内容

 四点目は研究したい内容になります。これも同じく難しいのですが、まずは先行研究を気にせず自分が研究したい内容を決めましょう。もちろんそれは仕事上で躓いた課題や乗り越えたい壁であるべきです。例えば「成果主義と年功序列を両立させたい。」「女性役員を増やすにはどうすればいいのか。」「インターネット広告の成長期に既存の広告会社はどうあるべきか。」等、自分が仕事上で悩んだ課題を研究テーマとします。しかしここからが難しいのですが、これらの課題は既に先行研究で解明されているのかもしれません。その場合は、その先行研究に目を通した上で、その上で自分が追加で解明したい内容を書くか、別のテーマを設定する必要があります。またもちろんその研究テーマが、志望するビジネススクールで研究可能かも調べる必要があります。この辺りまで来ると個人で行うのは難しいと思いますが、まず研究したい内容は自分で設定する必要があります。その上で先行研究を調べる必要があります。

1-5.自分が貢献できること

 五点目は自分が志望するビジネススクールに貢献できることになります。五点目に書きましたが、これは研究計画書を書く過程で最も大切な要素になります。何故ならビジネススクールというのは教授陣から一方的に指導を受ける場所ではなく教授陣と学生達が一緒に作り上げるものだからです。その意味で自分が志望するビジネススクールに何が貢献できるかをしっかり考えて下さい。例えば「自分はコミュニケーション能力が高いので、グループワークで周囲の人達をまとめてディスカッションを円滑にできる。」「授業内で積極的に発言してよりよい授業作りを行うことができる。」「仕事上でリーダーシップを発揮した経験から周囲の学生達を率いてグループ課題をこなすことができる。」等、自分がビジネススクールや周囲の学生に貢献できることを真剣に考えて下さい。授業に行って授業を受けて終わり、というのは、ビジネススクールではありません。そのような受け身の姿勢は研究計画書の文面や面接ですぐに見抜かれてしまうでしょう。そもそも社会人として相応しい姿勢ではありません。研究計画書に自己アピールを記入する欄がなかったとしても、これについては真剣に考えるようにして下さい。

研究計画書の準備:まとめ

2-1.研究計画書には準備が必要です。

 上記の通り研究計画書には準備が必要になります。そのため研究計画書を作成する前は上記の内容をしっかりまとめるようにして下さい。その上で研究計画書を作っていきましょう。