2025年07月02日
損益計算書(P/L)の三つの構成要素
「損益計算書」は以下の「収益・費用・利益」の三つの要素から構成されてます。これらの詳細は次の通りです。
1-1.収益
一つ目が「収益」になります。
収益というのは企業が一定期間に得た経済的な価値を指します。売上はこの代表例になります。例えばメーカーが製品を販売したり、美容院がヘアカットサービスを提供してお金を受け取れば、その企業にとって売上が発生する事になります。このように売上は最も主要な収益だと言えます。しかし収益には別の内容もあります。例えば有価証券から配当を得た場合は「受取配当金」が収益に計上されます。有価証券の売却時に購入価格以上であれば「有価証券売却益」が収益に計上されます。また利息を受け取った場合は「受取利息」が計上されます。このように営業以外の内容で収益が発生することもあります。(これは「営業外収益」と言います。)
収益は企業活動の成果を示す指標であり損益計算書の基本的な要素です。企業が行う通常の営業活動から得られる収益は「営業収益」と呼ばれます。例えば、製造業であれば製品の販売による売上、美容院や飲食店であればサービス提供による売上が該当します。これらの売上は、企業の主たる事業活動の直接的な成果であり、企業の成長性や収益力を判断する上で最も重視される項目です。また、営業収益は単に売上金額だけでなく、取引先からの値引きや返品などを調整した「純売上高」として計上されることが多く、正確な収益の把握が経営判断に直結します。営業活動以外でも収益が発生する場合があり、これを「営業外収益」と呼びます。営業外収益には、有価証券の配当金、株式や債券の売却益、銀行預金の利息収入などが含まれ、企業の財務運用や投資活動の成果として計上されます。
営業外収益は企業の本業以外で得られる利益ですが、経営の安定性や財務力を示す重要な要素でもあります。例えば、投資有価証券から得られる配当金や売却益は、資金運用の効率性や財務戦略の成果を表す指標となります。また、受取利息は銀行預金や短期金融商品からの収益であり、資金運用の一部として計上されます。これらの収益は営業利益には含まれませんが、最終的な当期純利益に加算されるため、企業全体の収益性を評価する上で無視できません。損益計算書を通して収益を正確に把握することで、経営者は事業活動の成果を分析し、投資判断や資金運用の方針を決定することができます。またMBA受験生にとっても、収益の種類や性質を理解することは、財務会計の基礎を押さえる上で非常に重要です。
1-2.費用
二つ目が「費用」になります。
費用というのは企業が売上を上げるために発生させたコストを指します。例えば仕入れてきた製品を販売する小売店にとっては仕入の売上原価が費用であると言えます。またその製品を販売するのに発生した「広告宣伝費」「地代家賃」「人件費」「水道光熱費」などの経費、また減価償却費や通信費、支払利息や有価証券売却損などの経費も費用であると言えます。収益と同じように費用にも営業外費用や特別損失など直接的に営業と関係ない費用も存在します。
費用は企業活動の対価として支払われる経済的価値であり損益計算書における収益と対をなす重要な要素です。営業活動に直接関連する費用は「営業費用」と呼ばれ、売上を上げるために必要なコストとして計上されます。具体例としては、製造業であれば原材料費や製造人件費、流通業であれば仕入原価や販売手数料が挙げられます。また、事業運営に必要な間接的な費用も営業費用に含まれます。例えば、広告宣伝費や地代家賃、従業員の給与、水道光熱費、通信費などです。さらに、固定資産の価値を長期的に費用として配分する減価償却費も営業費用として扱われ、事業活動のコストを正確に損益計算書に反映する役割を担います。このように、営業費用は企業の本業に直接関連する支出を体系的に把握するために不可欠です。
一方で営業活動以外で発生する費用も存在し、これらは営業外費用や特別損失として計上されます。営業外費用には支払利息や借入金の手数料、投資有価証券の売却損などが含まれ、企業の財務運用や資金調達活動に伴うコストを反映します。特別損失は、災害や事故、固定資産の売却損など通常の営業活動とは関係のない一時的な費用を指します。これらの費用を適切に区分して計上することで、経営者は本業の収益力と非本業の財務影響を正確に分析できます。費用の性質や種類を理解することは、企業の利益構造を把握する上で重要であり、MBA受験生にとっても損益計算書の読み解き方を学ぶ際の基礎知識となります。
1-3.利益
三つ目が「利益」になります。
利益というのは収益から費用を引いた金額を指します。収益から費用を引いた値が利益ですが、損益計算書では最終的に全ての収益(営業外収益や特別利益を含む)から全ての費用(営業外費用や特別損失を含む)を引いた金額を「税引前利益」と言います。そして税引前利益から法人税などの税金を差し引いた金額を「純利益」と言います。決算期間(会計期間)に対応する純利益は一般に「当期純利益」と言います。
利益は企業が収益から費用を差し引いた後に残る経済的成果を示す重要な指標であり、損益計算書における目標であるとも言えます。営業活動による利益は「営業利益」と呼ばれ、企業の本業から得られる収益性を把握する上で最も基本的な指標です。営業利益は、売上高から売上原価や販売費・一般管理費などの営業費用を差し引くことで算出されます。しかし、企業活動には本業以外の要素も存在するため、営業利益に営業外収益や特別利益を加え、営業外費用や特別損失を差し引いた金額が「税引前利益」となります。税引前利益は、企業が一定期間に実際に稼ぎ出した利益の総額を示すものであり、経営者や投資家にとって企業全体の収益力を評価する際の重要な指標となります。
税引前利益から法人税や地方税などの税金を差し引いた金額が純利益となり会計上は当期純利益として報告されます。当期純利益は株主に帰属する最終的な利益であり、配当や内部留保の原資となります。また、当期純利益は企業の成長性や財務健全性を判断する上で欠かせない指標です。利益は単に数字として計上されるだけでなく、企業戦略の立案や投資判断、株主への還元方針を決める際の根拠となります。そのため、MBA受験生にとっても、収益・費用・利益の関係性を理解し、損益計算書から企業の収益構造や財務状況を読み解く力を養うことは、財務会計を学ぶ上で非常に重要です。
損益計算書(P/L)の三つの構成要素:まとめ
このように損益計算書の収益・費用・利益の三つの要素から構成されています。そしてこの三つの要素の関係性を表す式「収益=費用+利益」を損益計算書等式と言います。これらは財務会計に不可欠な知識になりますので、それぞれしっかりと覚えておきましょう。