組織文化とは?MBA受験生が知るべき働きやすさと組織成功の鍵

2025年07月04日

組織文化とは何か?

 「組織文化」とは組織のメンバーが共有している価値観や信念の事です。信念とは自分が正しいと考えている考えのことであり、価値観とは何が正しく何に価値があるかという事に対する判断の基準です。これらにより組織メンバーの行動様式は変化することになります。企業には組織文化が不可欠です。組織文化が重要である理由は以下の通りです。

組織文化が重要である理由

2-1.組織メンバーの自律性が高まる。

 まず一点目は「組織メンバーの自律性が高まる。」というものになります。

 組織文化があれば組織メンバーの自律性が高まります。何故なら意思決定の基準が明確になるからです。例えば企業が「顧客第一でどんな時でも顧客満足を優先すべき。」という組織文化を有していれば、従業員は判断に迷った時に顧客のためになる行動を率先して取るようになります。しかし逆に「どんな時でもコストの低い方を選択すべき。」という組織文化を有していれば、従業員は迷った時にコストが低くなる方を選択するようになります。いずれの場合も意思決定の基準が明確なので、自律性が高まります。しかし組織文化がないと自律性は低いものになります。何故なら何を守っていいのか判断できないので、常に上司の判断を仰ぐようになるからです。そのため組織文化があることで従業員の自律性は高まることになります。

 加えて、組織文化はメンバー間の価値観の共有も促します。共通の価値観や行動規範が浸透していると、個々のメンバーは自分の判断が組織全体の方向性と合致しているかを意識せずとも把握できます。これにより、日常業務における判断や行動のスピードも向上します。また、組織文化が明確であれば、新しく加入したメンバーも迅速に行動基準を理解でき、指示待ち状態に陥ることが減ります。結果として、組織全体の効率性や柔軟性も高まり、メンバー個々の自律的な貢献が組織の競争力向上につながるのです。こうした点からも、組織文化は自律性を促進する重要な要素といえます。

2-2.組織メンバーが協力しやすくなる。

 次に二点目は「組織メンバーが協力しやすくなる。」というものになります。

 組織文化があれば組織メンバーが協力しやすくなります。組織が大切にしている価値観や信念が明確であれば、従業員も同じ価値観や信念を共有することになります。そうなると組織内で協働を進めていく過程で協力し合うことが容易になります。何故なら何を優先すべきか・守らなければならないかが明確なので、意思疎通の齟齬が生じにくくなるからです。これは特に大勢の人数で一緒に仕事を進めていかなければならない局面では重要になります。何故なら価値観や信念などは個々に異なるものなので、それぞれが独自の判断を下していると意思の統一を図ることが難しくなるからです。しかし組織文化があればそれに基づいて意思決定を行うことができるので、それぞれが協力しやすくなります。

 更に組織文化はメンバー間の信頼感を醸成する効果もあります。共通の価値観や行動規範が浸透していると、各メンバーは相手がどのような判断や行動を取るかを予測しやすくなります。これにより、いちいち細かく指示や確認を行わなくても、安心して業務を任せることができるようになります。また、協力的な行動が組織として評価される文化があれば、メンバーは自主的に互いを支援し、チーム全体の成果向上に貢献しやすくなります。結果として、組織全体の生産性や士気が高まり、単なる個人の努力では達成できない目標にも効果的に取り組めるようになります。

2-3.組織メンバーの組織に対する帰属意識が高まる。

 三点目は「組織メンバーの組織に対する帰属意識が高まる。」というものになります。

 組織文化があれば組織メンバーの組織に対する帰属意識が高まります。組織文化があれば共通の価値観を有する事になり、それにより組織メンバーの間に一体感が生まれるようになります。そして一体感があるとその組織にいる理由や意義を明確に感じられるようになり、それにより組織メンバーの帰属意識やモチベーションが高まることになります。それが組織メンバーの価値観や信念と一致していればその効果が更に高くなるのは言うまでもありません。このように組織文化があれば組織メンバーの帰属意識を高めることができます。

 加えて、組織文化はメンバーの誇りや忠誠心を育む役割も果たします。共通の価値観や理念が組織の行動指針として明確であれば、メンバーは自分の仕事が単なる業務ではなく、組織全体の目標や理念に貢献していることを実感できます。この実感が、組織への愛着や誇りにつながります。また、組織文化が評価や報酬の基準とも結びついている場合、メンバーは組織の一員であることの意味をさらに強く感じやすくなります。結果として、離職率の低下や長期的な組織貢献が促進され、組織全体の安定性や持続的な成長にも寄与します。

2-4.組織メンバーの変化に対応する力が高まる。

 四点目は「組織メンバーの変化に対応する力が高まる。」というものになります。

 組織文化があれば組織メンバーの変化に対応する力が高まります。これは価値観や信念が共有されていることにより生じます。何故ならこれらが共有されていると、行動の軸が明確になっているので、何を守らなければならないかが分かるからです。これは自律性を高めることに似ていますが、少し異なるのは、自分の意思で変化に対応することも期待できるようになるという事です。企業の規模が拡大すると、現場で仕事を行うスタッフの数や種類が多様化します。そのためトップマネジメントから全ての指示を出すのは不可能であり、結果として現場が自らの判断で柔軟に対応する力が求められるようになります。ただしこれにも軸が必要です。守らなければならない軸を持った上で変化に対応するならば、その変化は企業にとって必ず価値あるものになります。そのため組織メンバーは勇気を持って柔軟に変化することができるようになります。

 更に組織文化が明確であれば、変化に対する心理的な抵抗感も低減されます。共通の価値観や信念が組織内に浸透していると、メンバーは「どの方向に向かうべきか」「何を優先すべきか」を迷わず判断できるため、不確実な状況でも安心して行動できます。また、組織文化は失敗や試行錯誤に対する受容度にも影響を与えます。文化として挑戦や改善を尊重する価値観が根付いていれば、メンバーは失敗を恐れずに新しい方法を試すことができ、その結果として組織全体の適応力やイノベーション力も高まります。さらに、共通の価値観を持つことで、メンバー同士が変化に対応する際の連携やサポートもスムーズになり、個人だけでなくチーム全体で柔軟に対応する力が育まれます。こうしたプロセスを通じて、組織文化は単なる行動の指針にとどまらず、変化を価値に変える力そのものをメンバーに与える重要な基盤となります。

2-5.外部組織からの評価が上がる。

 最後に五点目は「外部組織からの評価が上がる。」というものになります。

 組織文化があれば外部組織からの評価も高まります。何故なら組織が一貫した行動・判断を行うようになり、その企業のブランド・イメージが確立するからです。これにより外部の組織からは組織が評価されるようになり、仮に組織のメンバーが変わっても同じ価値観・信念を共有していると考えられるようになり、それが組織に対する信頼性を高めてくれます。これは外部との長期的な関係を築く上で非常に有利な点になります。また社会的責任(CSR)などを大切にする組織文化があれば、更に外部からの評価は高まります。

 加えて、組織文化が明確である事は、取引先や顧客、株主など外部ステークホルダーに対しても一貫性のある印象を与えます。例えば、誠実さや品質重視を文化として掲げる企業であれば、契約や取引においてもその姿勢が反映され、信頼関係が築きやすくなります。また、組織文化が浸透している組織は、危機やトラブルが発生した際にも適切かつ迅速に対応する傾向があり、外部からの評価が安定して高くなります。結果として、優秀な人材の採用や新たなビジネスチャンスの獲得にもつながり、組織の持続的な成長を後押しします。

組織文化:まとめ

 上記の通り組織文化は組織に大きなメリットをもたらします。そのためMBA受験に向けて組織文化の概念とその重要性をしっかりと理解して覚えておきましょう。