2025年07月01日
事業部制組織のメリット・デメリット
1-1.事業部制組織のメリット
事業部制組織には以下のメリットがあります。
1.意識決定が早くなる。
事業部制組織では各事業部の長が事業部に責任と権限を持っています。そのためトップ・マネジメントが判断するより早く意識決定を行うことができるようになります。これにより変化の激しい製品・サービスや地域・顧客セグメントを扱う事業部は、より現場に合わせた意識決定を迅速に行うことができるようになり、結果として好業績を維持しやすくなります。
2.業績管理が容易になる。
事業部制組織では業績管理が容易になります。事業部制組織では、各事業部が独立しているので、それぞれの採算(P/L)を出すことができるようになります。トップ・マネジメントは独立した業績を確認することで、それぞれのパフォーマンスを容易に理解することができるようになります。そのためトップマネジメントにとっては業績管理が容易になり、更には責任の所在を知るのも容易になると言えます。
3.経営人材が育成できる。
事業部制組織では、各事業の長が自身の事業部に対して責任と権限を有しているので、また責任の所在も明確なので、必死になって事業部を運営するようになります。その結果、各事業の長は経営の仕事をするようになり、結果として社内で経営人材を育てる機会が得られるようになります。
1-2.事業部制組織のデメリット
事業部制組織には以下のデメリットがあります。
1.経営資源が重複しコストが増加する。
事業部制組織では、各事業部がそれぞれの独自に機能を有することになります。例えば企業がA・B・C事業部のように三つの事業部を有しているとします。この場合、それぞれの事業部が独自の機能部門(例.営業部や研究開発部など)を有することになるので、全社的に見ると機能組織が重複していることになります。これは資源の重複に他ならないので、この分だけ無駄なコストが発生すると言うことができます。(事業部制組織で全社的な機能を有する場合もあります。)
2.部門間の連携不足が起こる。
事業部制組織では、事業部間の連携不足が起こります。事業部を分けるとそれぞれが一つの企業のように運営されることになります。そのため事業部ごとの目標が優先されるようになり、事業部間で情報や資源を共有しあうような協力関係を築くことが難しくなります。
3.全社的な戦略とズレる可能性が高まる。
事業部制組織では、各事業部が独立して動くので、全社的な戦略を追求するのが難しくなります。企業はミッションやビジョンを追求する組織ですが、事業部を分けるとそれぞれが独自に動くので、全社的に進むべき方向性と異なる事業部が出てくる可能性があります。
事業部制組織のメリット・デメリット:まとめ
2-1.事業部制組織をしっかり理解しておきましょう。
事業部制組織は分権化された組織であり、企業組織の歴史を見ると、機能別組織の発展版だと言うことができます。しかし事業部制組織も機能別組織と同じようにメリット・デメリットがあるので、上記の内容をしっかりと理解しておきましょう。