財務会計と管理会計の違いとは?|MBA受験生・初心者でもわかるスッキリ解説

2025年07月01日

財務会計の概要

 

企業の会計は大きく分けて「財務会計」と「管理会計」の二種類があります。それぞれの詳細は次の通りです。

1-1.財務会計とは?

 「財務会計」とは企業の外部の利害関係者(株主、金融機関、税務署など)に報告するための報告書になります。企業外部の利害関係者は企業の財務状態を定期的に確認する必要があります。何故なら財務状態を定期的に確認する事でそれぞれに必要な判断ができるようになるからです。例えば株主は実際に企業が利益を出しているのか、どのような戦略で企業を経営しているのかというような情報を財務諸表から判断する事ができます。また金融機関は財務諸表を通して更にこの企業に資金を貸し付けていいのかどうかを判断する事ができます。また税務署は利益に対して適切に納税できているかを判断する事ができます。このように外部の利害関係者は財務会計を通して企業を判断します。そのため財務会計は非常に重要になります。

1-2.財務会計の目的

 「財務会計」の目的は企業の財務状況や経営成績を公平・正確に報告することになります。そのため財務会計の報告書は決められたルールに乗っ取り作成する必要があります。例えば日本だと日本基準(JGAAP)、米国だと米国基準(USGAAP)、その他の海外だと主に国際会計基準(IFRS)などの会計基準に則って作成される事になります。財務会計に厳格なルールがあるのは、ルールが統一されていないと同じ基準で判断する事ができないからです。例えば投資家が年間〇%以上の営業利益を出している企業に投資すると決めていたとしても、その営業利益の計算方法がそれぞれ異なれば自分が採用する基準で計算し直すだけで多くの手間が発生する事になります。これだと現実的に個々の企業の実態を把握する事が不可能だと言えます。そのため財務会計には厳格なルールがあるのです。日本には日本基準(JGAAP)、米国だと米国基準(USGAAP)、その他の海外だと主に国際会計基準(IFRS)を主に採用していると認識しておいて下さい。そしてその基準を通して企業の財務状態や経営成績を公平・性格に報告することが財務会計の目的であるとしっかり認識しておいて下さい。

1-3.財務会計の特徴

 「財務会計」の特徴は企業外部の利害関係者に向けて経営成績や財務状態を報告する事にあります。株主・投資家、債権者、取引先、税務署などが対象となり、これらの関係者は企業の財務情報を基に意思決定を行います。そのため、財務会計は客観性と透明性を重視し、上記(1-2)の通り誰が見ても理解できるように標準化された形式で情報を開示します。また一定期間(年次決算、四半期決算)ごとに決算書を作成し過去の実績を報告する事後報告である点も特徴の一つであると言えます。主に企業全体を単位とし全社的な成果を報告するための情報提供が目的です。このように財務会計は企業の社会的責任の一端を担っており信頼性ある対外的情報の提供を行うものであると言えます。

1-4.財務会計の報告書

 「財務会計」の報告書には主に次の三つがあります。(株主資本等変動計算書を加えるケースもあります。)

1.貸借対照表(Balance Sheet:B/S)

 一点目は「貸借対照表(B/S)」になります。貸借対照表は英語でBalance Sheetと書くので、その頭文字を取って「B/S(ビーエス)」と書くこともあります。貸借対照表は企業の特定期日における「資産」「負債」「純資産(資本)」の値を表すものです。企業は決算日に必ず貸借対照表を作成する必要があります。

2.損益計算書(Profit and Loss Statement:P/L)

 二点目は「損益計算書(P/L)」になります。損益計算書は英語でProfit and Loss Statementと書くので、その頭文字を取って「P/L(ピーエル)」と書くこともあります。損益計算書は一定期間の売上・費用の流れを記入したものです。企業は決算時に必ず一年分の損益計算書を作成する必要があります。

3.キャッシュフロー計算書(Cash Flow Statement:C/F)

 三点目は「キャッシュフロー計算書(C/F)」になります。キャッシュフロー計算書は英語でCash Flow Statementと書くので、その頭文字を取って「C/F(シーエフ)」と書くこともあります。キャッシュフロー計算書は企業の現金の増減を計算した書類です。一般的に企業が保有している現金は損益計算書の利益とは異なるので、キャッシュフロー計算書を作成し実際のお金の動きを報告する必要があります。

管理会計の概要

2-1.管理会計とは?

 「管理会計」とは企業の内部管理者が意思決定を行う為に使う会計情報です。経営戦略の立案、予算の編成、業績評価、原価管理など、経営を効率化するための道具として企業の内部で使用されます。企業の内部で使用されるため財務会計のような厳格なルールはありません。何故なら管理会計は正式に外部関係者に報告する書類ではないからです。よって管理会計は外部の基準に縛られず企業が独自に作成する事ができます。

2-2.管理会計の目的

 「管理会計」の目的は企業内部の意思決定を支援し経営資源の最適配分を実現する事になります。具体的には製品別の採算分析、コスト削減施策の評価、予算管理、業績評価、投資判断など、経営陣や管理者が自社の目標達成に役立つ情報提供を行います。そして企業の成長をサポートするのが管理会計の目的になります。管理会計は厳格なルールが存在しないので、企業が目的に応じて自由に設計する事ができます。ただしその目的は企業内部の経営陣・管理者が必要な情報を把握し正しい意思決定を行う事です。

2-3.管理会計の特徴

 「管理会計」の特徴は未来志向であるという点になります。財務会計が主に過去の実績を外部に向けて報告するのに対し、管理会計は未来志向であり、利益を上げる・集中する事業を選択する為に使用されます。また管理会計は企業ごとに設計が自由であり、組織の状況や戦略に応じて柔軟に制度設計できる点も特徴の一つであると言えます。つまり管理会計は企業の競争力を高め、持続的成長を実現するためのツールであるとも言えます。

2-4.管理会計の報告書

 「管理会計」の報告書は目的に応じて自由に柔軟に設計されるものになります。幾つかの例を挙げると「部門別損益計算書」「製品別採算表」「予算実績差異分析表」「CVP分析表(損益分岐点分析)」「キャッシュ予測表(資金繰り計画)」「KPI管理レポート」などが挙げられます。このような報告書は企業の内部管理者が経営の管理や意思決定のために使用するものになります。ただし上述した通り決まった物を使用しなければならないというルールはないので、企業は目的な状況に応じてどのような報告書を導入するかを自社で決定する事ができます。また上記にはない報告書を設計する事も可能です。

 

財務会計と管理会計:まとめ

 上記の通り財務会計と管理会計は目的が異なります。ただし企業を経営するには両方が重要になるので、それぞれの内容・目的・特徴・報告書をしっかりと理解しておく必要があります。企業の財務会計と管理会計は必ず理解しておくようにしましょう。もしこれらが理解できていない場合は必ずしっかりと理解した上で覚えておくようにして下さい。MBA受験でも必須の知識です。