2025年05月10日
研究計画書の書き方
別記事「研究計画書を作成する前に必要な準備」で解説させて頂いた通りに準備ができたら、実際に研究計画書を執筆していく事になります。研究計画書は大きく分けて以下三つの種類に分ける事ができますので、それぞれの書き方について解説します。
1-1.エッセイ型
1.書き方
基本的にビジネススクール(MBA)はこのタイプが主流になります。具体的には「志望動機」「修了後のキャリアプラン」「過去の実績」「自己PR」などが問われます。それに対して指定された字数内で自分の考えを述べます。エッセイには「序論」「本論」「結論」の三つを書く必要があります。「序論」は書き出しであり「本論」は全体の要点、「結論」ではまとめを書きます。
まず書き方としては準備してきた内容を踏まえて「本論」と「本論の章数」をまとめて下さい。例えば志望動機で答えたい内容が三つあれば本論の章数は三つになります。そしてこれらの本論の前後の「序論」と「結論」を引き、残った字数を三つに割り、概ねその字数以内で話をまとめて下さい。仮に字数が合計1,000字で「序論」と「結論」に併せて100字程度を使うなら、残った字数は約900字なので、各章の文字数は約300字になります。あくまで目安に過ぎませんが、バランスが取れた文章構成になるよう、字数の配分はできる限りしっかり意識して下さい。
次に本論の各章ではその章の要点を最初に書いて下さい。そして「要点」→「理由」→「根拠・データ」の順に内容を書いていきます。例えば章の要点が「マーケティングのカリキュラムが充実している事」であれば、理由としては「マーケティングを学ぶ必要性」が挙げられ、根拠やデータとしては「実際のカリキュラムの詳細」に言及する必要があります。この書き方を各段落でしっかり守って書いて下さい。
最後に「序論」と「結論」ですが、これらは概ね同じ内容にして下さい。「序論」は一般論から論文の要点までを書き、「結論」は繰り返し論文の要点を書きます。そして最後に締めの文章を入れて終了です。
2.注意点
上記が基本的な計画書(エッセイ型)の書き方になります。
これだけ書くと非常にシンプルですが、実はこのエッセイが上手く書けずに苦戦する人は大勢います。また自分では上手く書けていたと思っても、プロの目からみると全く合格水準に達していないケースも多々あります。その理由は準備不足、例えば、躓いた課題から感じた身に付けたい力が適切ではなかったり、課題の選択ミスだったり、論理的に意見を述べられていないケース等があります。
また他に多い失敗例としては、論理が弱かったり、一貫性がない事を述べているケースがあります。例えば過去の仕事と無関係な主張を展開しているケースなど等です。今までSEとして働いてきた人が、これから経営コンサルティングをやりたいからビジネススクールで学びたいと主張しても、その考えに至るまでの過程が不明確だと嘘で固めて綺麗事を並べただけだと思われてしまいます。むしろ教授陣はそのような嘘を見抜くプロなのでこのような書き方は絶対に避けるべきです。
そのためエッセイ型は徹底した過去の自己分析と未来に向けた課題を論理的に書く必要があります。またライティングの力を高める必要もあります。ライティングは主張を述べた後に理由と根拠を述べるものですが、このライティング力もエッセイ型には必要になります。(ライティング力については別記事で解説します。)よって別記事「研究計画書を作成する前に必要な準備」で書いた通りにしっかり過去と向き合い内容を準備し、そしてライティング力を身に付けてから、上記をしっかり守って執筆するようにしましょう。
1-2.研究計画書型
いくつかのビジネススクールでは研究計画書型の研究計画書もあります。むしろ言葉の定義として「研究計画書」というのはこちらが王道になりますが、ビジネススクールの入試では研究計画書という名のエッセイ型が主流です。研究計画書型も本質的にはエッセイ型と同じ書き方で大丈夫ですが、これにはしっかりとしたリサーチデザインを記述する必要があります。
このタイプは字数が多いだけではなく、多くの先行研究を読む必要があるので、ここで簡潔に書き方を述べる事はできません。一般的にはエッセイ型と同じように書きますが、それに対して先行研究を入れていく必要があります。その意味で先行研究を読む所から始まるので、これについてはできる限り一人で進めずプロと個別に一緒に進めて行きましょう。何故なら既に修士論文を書いた経験がある人や、特定の学会に所属しジャーナル等に論文を投稿した経験のある人以外は自力で作り上げるのは難しいものになります。(エッセイ型でもほとんどの人は自力で作り上げるのは不可能です。)実際に大学院生となり研究を行う場合でも一人で進めるのは不可能です。(通常は指導教官+研究メンバーと一緒に議論しながらリサーチデザインを作ります。)
そのためこのタイプの大学院を志望する場合は指導してくれるプロを見つけてから一緒に取り組むようにしましょう。
1-3.ハイブリッド型
このタイプも書き方としては上記の二つと同じです。エッセイ型は上記の通り、研究に該当する部分は先行研究を読んでから書くようにしましょう。同じく先行研究に該当する部分は指導してくれるプロを見つけてから執筆して下さい。
研究計画書の書き方:まとめ
2-1.正しい書き方を学び研究計画書を執筆しましょう。
エッセイ型・研究計画書型・ハイブリッド方を問わず、研究計画書の書き方というのは普通に生活している中で身に付くものではありません。普通に生活していて急に泳ぐ事ができるようになったり、ピアノを弾いたりする事ができるようにはならないのと同じです。それぞれプロの指導者から泳ぎ方やピアノの弾き方を学び、練習し、何度も失敗した後にようやくできるようになるものです。研究計画書もこれと全く同じです。また研究計画書はビジネススクールの入試に於いて最も重要な内容になります。そのためしっかり方法を学んでから執筆するようにして下さい。