2025年05月18日
小論文試験の三つの種類
国内MBA(ビジネススクール)の入試で課される小論文試験の内容には大きく分けて以下の三種類があります。それぞれの詳細は次の通りです。
1-1.課題文型小論文(資料読解型)
一つ目は「課題文型小論文(資料読解型)」になります。これは与えられた課題文(文章・グラフ・図表など)を読み、自分の意見を書く形式の試験になります。
具体的な質問としては「次の文章を読み以下の質問に答えよ。」というような問題です。その文章の内容は様々ですが、基本的には経営学に関するテーマが与えられます。そして「筆者の主張についてどう思いますか。あなたの考えを〇〇字で述べて下さい。」「文章内で述べられた〇〇を実現するには何が重要だと思いますか。あなたの考えを〇〇字で述べて下さい。」というような質問が与えられます。
この「課題文型小論文(資料読解型)」で重要なのは、文章の内容や資料の内容を正しく理解するという点になります。もし文章の内容が正しく理解できていない場合、必然的にあなたが述べる意見も論点がズレてしまいます。そうなると場合によっては0点になる可能性すらあります。そのため課題文型小論文では文章をしっかり読み、内容を正しく理解することに専念しましょう。それができるようになるには経営学の学習や小論文演習が不可欠であることは言うまでもありません。
また同じく「課題文型小論文(資料読解型)」で重要なのは経営理論を理解しておくという点になります。例えば「〇〇社の従業員のモチベーションを高めるにはどうすればいいか?」と質問された場合、「〇〇社の従業員のモチベーションを高めるにはこうすればいいです。」と経営理論を知らずに答えると、その意見はあなたの経験や感覚だけに基づく意見になります。もちろん経験や感覚に基づく意見は重要ですが、基本的に小論文試験は経営理論を知った上で意見を述べる必要があります。
そのためこのケースだと「〇〇社の従業員のモチベーションを高めるには従業員エンゲージメントを高める必要がある。」「モチベーション理論の観点から〇〇のようにすれば良いと考える。」というように、経営理論を基に意見を述べられると高得点を取る事が可能です。経営理論を学ぶと聞けば難しいと感じると思いますが、これは小論文対策には不可欠になりますので、しっかりと学ぶようにして下さい。また逆に言えば経営理論の対策さえしておけば充分対応できるようになるのが課題文型小論文になりますので、あなたが受験するビジネススクールに小論文試験が課されていればしっかりと経営理論の対策をしてから試験に臨むようにしましょう。
1-2.テーマ型小論文(自由論述型)
二つ目は「テーマ型小論文(自由論述型)」になります。これは特定のテーマについて自分の意見を述べる形式の試験になります。 例えば「生成AIが〇〇業界に与える影響について述べよ。」「VUCAの時代には企業はどのような点に注意して経営戦略を策定すべきか。」「SNSの功罪についてあなたの考えを述べよ。」というような問題が挙げられます。
このようなテーマ型小論文ではあなたの知識と思考力が試されます。何故なら知識がないと答えることができず、また知識があっても応用して考える思考力がないと適切な答えを出すことができなからです。例えば「生成AIが経営コンサルティング業界に与える影響について述べよ。」という質問が与えられたとします。この質問に適切に答えるには、まず「生成AI」に対する知識と「経営コンサルティング業界の特徴」を知っておく必要があります。
そして次にその知識を利用して生成AIが与える影響について考える必要があります。これには思考力が必要となります。例を挙げると「生成AIは高い情報処理能力がある。そのため企業の課題解決を行う経営コンサルティング業界は生成AIを活用することで業務の効率化・生産性の向上、高度な分析・精度の高い意思決定、更には人件費の大幅な削減が可能となる。」というような意見を述べる事ができます。
しかしこれには知識と思考力が必要になるのでテーマ型小論文の対策には経営学(経営理論)の学習が不可欠になります。経営学の学習としてはテーマが選択できるならそのテーマをしっかりと学ぶべきです。またテーマを選択できないビジネススクールを目指す場合は経営学全般の学習を行うべきです。いずれにしても代表的な経営理論は全て学習して試験に臨むようにして下さい。そして自分の意見の根拠は必ず経営理論に依拠するようにして下さい。
1-3.経営理論・経営理論応用型
三つ目は「経営理論・経営理論応用型」になります。これは経営理論を問う問題と、経営理論を活用して課題や事象を分析・回答させる形式の試験になります。
まず「経営理論」を問う問題は理論の意味を問う問題です。問題の例を挙げると「イノベーションのジレンマについて解説しなさい。」「エージェンシー理論について解説しなさい。」「センスメイキング理論について解説しなさい。」というような問題です。このような問題はシンプルに経営学の知識(経営理論)を問うているので、事前にしっかり学習していれば答える事が可能です。しかし経営理論を問う問題は、その理論を知らなけば一切答えられません。そのため経営理論をしっかり学んでおく必要があります。代表的な経営理論はそこまで数が多い訳ではないので、全体を網羅的に学んでから試験に臨めば充分です。しかし総合的な経営理論を学ぶには複数の科目(経営戦略・リーダーシップ・組織論・マーケティング・会計学・ファイナンスなど)から重要な経営理論を選択して学ぶ必要がありますので、これについても事前にしっかりと学習を進めておく必要があります。
次に「経営理論応用型」は理論を使って自分の意見を述べる問題です。問題としては次のような問題が出題されます。例えば「長時間労働により時間当たりの生産性が低下する理由を内発的動機づけ理論に基づいて答えよ。」というような問題です。これは長時間労働・生産性の特徴と内発的動機づけ理論を知っていれば結び付けて答えを出すことができます。またもう少し難しい問題の例としては「規模の小さい企業がコストリーダーシップ戦略を実現するにはどうすればいいか。」というような問題が挙げられます。この問題はコストリーダーシップ戦略という経営理論を理解しているのを前提としており、その応用方法が問われます。何故なら一般的に規模の小さい企業は規模の経済を実現できずコストリーダーシップ戦略を実現するのが難しいと考えられているからです。そのため経営理論を応用して考える力が重要になります。
経営理論応用型の問題は難易度の高い問題になりますが、演習を重ねていくことで確実に力を伸ばしていく事が可能です。しかし「演習→添削→書き直し→添削(場合によっては数回)→合格水準に達する」という事を何度も繰り返す必要がありますので、小論文対策には経営理論の学習だけではなく経営理論を応用する問題の演習を何度も行う必要があります。
小論文試験の三つの種類:まとめ
上記の通り小論文試験には三つの種類があります。全ての種類に共通しているのは、経営理論を学んだ上で小論文演習を行う必要があるという点になります。経営理論が難しく感じるかもしれませんが、あくまで基本的なコンセプトを理解しておけば充分ですので、小論文対策を行う前に基礎的な経営理論をしっかりと学んでおくようにしましょう。小論文試験対策でお悩みであればいつでもご連絡下さい。